書籍「Engineers in VOYAGE 事業をエンジニアリングする技術者たち」が発売された。 まだ読んでいない人がいるなら兎に角オススメなので読んでほしい。 先日も少し話題にした業務委託でお手伝いしている会社、VOYAGE GROUPの主要な各事業を作ってきたエンジニアたちにフォーカスしたインタビュー集だ。
「そーだいさんはVGの人と仲が良いから底上げ評価でしょ?」と思う人がいるかもしれない。 もしあなたがレガシィコードと戦う現場で悩んでいるなら、大小関わらずプロダクトを作り、事業と共に歩む人なら自信を持ってオススメできる。 また今からエンジニアを生業として生きていこうと思っている人たち*1にも自信を持ってオススメできる。 そして、ソフトウェアを軸とした事業を作っていきたい人、関わっているエンジニア以外の人たちもぜひ読んでほしい。 ソフトウェアでサービスを作る際に大事なことが沢山読み解けるはずだ。
このように技術で問題を解決している人たちのストレートな物語から得るものは必ずあるので、本当に色んな人に手にとって欲しい一冊だ。
紹介の一例として id:t-wada さんが書いたまえがきの一部を抜粋する。 読むか迷ってる人は引用元にいくと全文読めるのでぜひ読んでほしい。
各事業会社のキーパーソンにインタビューを依頼し、ランチをともにしながら事前に聞き出したshow notesを手に本番に臨むと、そこで彼らが語ってくれたのは、現実の世界で次々に発生する問題やチャレンジングな目標を時には腕力、時には調整力、時には洞察力でもって解決していく、当事者意識と技術力を備えた技術者たちによる格闘の歴史でした。
読みたくなった人は下記のラムダノートさんのリンクから買える。 会員登録も無く、電子書籍も紙媒体もあるので好きな方をすぐ買える。
ここから先はざっと最初に2時間位で読んだ後に昨晩も一回読もうと5時間くらいゆっくり時間をかけて読み直した上での感想戦を綴る。
オススメポイント
この本を大絶賛してるポイントをいくつか紹介する。 興味が出たら id:t-wada さんの感想ブログを読むことをオススメする。
読み物として面白いし、読みやすい
前述の通り、一日あれば全部一気読み出来る。 6章あるので1日1章を1時間くらいかけて読むこともできるので気軽に手を出せるボリュームだ。
でもそんな事は杞憂だろう。 手にとって1章を読み終わった時点で、そのまま2章を読み始め、気付けば全部読み切っているはずだ。 そんな引力がこの本にはあるし、そして読みやすい。
読みやすい理由に理解が難しい概念の話やソースコードの話は出てこない。 中堅エンジニアなら誰もが扱うような問題を、時には多くの人が諦めるような難問を、如何に解いたかのアプローチが綴られている。 私と同世代のエンジニアは共感するシーンがいくつもあるはずだ
また読み物として面白いところに各章、それぞれの事業毎に独自性があることだ。 多種多様な価値観の中で様々な物語が生まれる、だから飽きずにどんどん次が知りたくなる、そんな話ばかりだ。
パワーワードが良い
読み物として面白い、そして特徴的なパワーワードが出てくる。 他にも沢山あるのだが、本の楽しみを残して置くためにも一例を挙げるおくだけにしておく。
- 技術的負債の返済に必要な腕力
- システムそのものがドキュメント
- 葬りで、問題の分母を減らす
- 部屋のドアノブを回すと風呂の底が抜ける
これらのワードは自分たちの実務でも同じ考え方を伝えるために役立つはずだ。 そんなノウハウが詰まっている。
事業を作ることの哲学を学べる
この本の書名の通り、この本の主役は、事業を作っている人たちだ。 だからこそ、事業を作るために必要な考え方、各事業で大切にしていることが語られている。
5年、10年、15年モノの事業との付き合い方や0から始める新規事業との付き合い方、そしてそれぞれのフェーズで新しいことにチャレンジしていくために如何にビジネスを犠牲にせずに立ち向かっていくか。 そんな物語の中に哲学がある。
その哲学はこの本を読んだ、同じく事業を作っている人達も参考になるはずだ。
技術的負債に立ち向かうためのアプローチが複数ある
要所でそれぞれの事業部がそれぞれの技術的負債に対して、どのように解決してきたかが書いてある。 そのアプローチは事業のフェーズ、規模によっても当然違ってくるが、それが各事業毎に違ったアプローチで書かれているのだが、それがとても参考になる。
リプレースなのか、リアーキテクチャなのか、リファクタリングなのか、それぞれ全く違うアプローチを1冊でそれぞれ見れる貴重な本だ。 今まさに技術的負債に立ち向かおうとしているのであれば一度は読んだ上で、アプローチの参考にしてほしい。
おわりに
本当に新卒、中途、いろんな人にオススメできる本だ。
そしてまた私も続編がもし出る日がくれば、技術で問題を解決できる人の1人として取り上げてもらえるような貢献をしていきたいと思うのであった。