学ばないとAIを活用できる人とそうでない人の差が広がる、という話を前回書いた では、実際に学ぶためにはどうすれば良いのだろうか。という話を今回はする。
今回の大きなテーマは内省のサイクルを回すために必要なネクストアクションの設定である。 そのために必要なポイントを説明していく。
ネクストアクションを設定する重要性
まず、兎にも角にもネクストアクションを設定することが重要である。 これはよく、1on1などでフィードバックすることでもあるが、コルブの経験学習モデルにおける具体的経験→内省的観測→抽象的概念化→能動的実験のサイクルを回すために必要なことはまず行動することであるからだ。

この話は1on1を定期的にやっている
id:da1chi も書いている。
2023年、最初の1on1で悩みを相談した際、自分は「考えてみます」と返答しました。 そのときに言われたのが、「それでは次のアクションが明確ではないから意味がない」という言葉でした。
大事なのは、振り返りできる行動を記載して、必ずネクストアクションを置くことが重要だと強調されていました。
ネクストアクションとは、例えば、
- 考えるための予定を入れる
- ブログを書く
- 誰かに聞く
など、「次に何をするか」が明確で、完了が判断できるものです。 行動がなければ仮説検証は回らず、結果として成長も評価も起きない、という指摘でした
この大前提が重要でネクストアクションを設定するときに「具体的にする」「小さく始める」「事実と感情を分ける」という3つのポイントが重要になる。
具体的にする
前述の
id:da1chi の記事にもあるように、ネクストアクションは具体的に設定することが重要である。
例えば「考える」や「頑張る」というのは抽象的すぎて、実際に行動に移すときに迷ってしまうし、行動がうまくいったかどうかの評価も難しくなる。
実際にはもっと具体的して「1時間、xxについて調べる」とか「◯◯について話をAさんに相談しに行く」とか「勧められた本を読む」など、具体的な行動に落とし込むことが重要である。 そして具体的なアクションを設定するためには、仮説が必要である。
◯◯の仮説を検証するために、xxについて1時間調べる、というように仮説とセットで具体的なアクションを設定することで、行動の目的が明確になり、行動に移しやすくなる。 このようなアクションの設定は5W1Hで考えると整理しやすい。
プロダクトバックログなどではユーザストーリーを5W1Hで整理することが多いが、ネクストアクションの設定においても同様に5W1Hで整理すると具体的なアクションを設定しやすくなる。 5W1Hについては以下の記事を書いたので参考にしてほしい。
小さく始める
そして、具体的なアクションを設定してうまく行かなかったときは、さらに踏み込んでいく。 特に実行できなかったときは、具体的なアクションを設定できていない可能性が高い。 例えば「本を読む」というアクションが実行できなかった場合はもっと小さく具体的にする必要がある。 小さくすると「第一章まで読む」「本を10ページ読む」「電車に乗ったら本を取り出す」など、より実行可能なサイズに分解することができる。
ここまで分解すれば、実行できる可能性が高くなるし、実行できたかどうかの評価もしやすくなる。 そもそも第一章まで読んで、面白い本ではないとか思ってたのと違う本なら、途中で読むのをやめても良いわけだ。 そうすると新しい仮説を考えることもできる。
このように小さく始めると失敗のリスクも下がるし、内省のサイクルが小さく回ることで発見できる可能性も上がる。 発見が増えれば、学びも加速する。
事実と感情を分ける
仮説を考えてネクストアクションを設定したり、アクションをふりかえるときに重要なことは事実と感情を分けることである。 よくある例をあげると「今日はうまくいかなかった、自分のやる気が足りなかった」というのは事実と感情が混ざっている。
この場合、事実としては「ネクストアクションを実行できなかった」と感情の部分として「やる気が足りなかった」というのに分けることができる。 わけないとネクストアクションが「頑張る」という抽象的なものになってしまい、実行できなかったときにまた「頑張れなかった」という感情主体の振り返りになってしまう。
そうではなく「ネクストアクションを実行できなかった」という事実に対して、「なぜ実行できなかったのか?」という問いを立てて、具体的な原因を探ることが重要である。 この話はよく「頑張らなくてもいいから、成果できる仕組みを作ろう」という話をするが、まさにここに通じる話である。
不安は成長のシグナル
感情と似たような話に不安の話がある。 感情自体は悪いものではなく、向き合うことは重要である。 ただ、ネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えながら事実と分けて考えることが重要である。
例えば
id:blue_goheimochi の以下の記事では不安を成長のシグナルの話を書いている。
blue-goheimochi.hatenablog.com
このように不安は成長する余地を伝えるシグナルであると捉えることで、不安がネガティブな感情ではなく、ポジティブに変換することができる。 ポジティブに捉えることができれば、不安に向き合いやすくなり、事実と分けて考えやすくもなる。
失敗は終わりではなく学び
もう一つ、感情の延長上の話に失敗の話がある。 失敗は悪いことだと捉えてしまうと、不安と同様にネガティブな感情にひっぱられ、正しく内省することが難しくなる。
そこで失敗は終わりではなく、学びの一つのステップであると捉えることが重要である。 これもよく1on1でフィードバックするが、失敗したことは「できないことがわかった」という学びの一つであり、仮説を前に進めて成長するためのチャンスなのである。
こう捉えると失敗に対してもポジティブに向き合うことができ、失敗から学びのサイクルを生み出すことができる。 そもそも失敗しないということは挑戦していない、行動していないということであるし、行動すると多くは失敗するものである。 だからこそ失敗しない、ではなく失敗しても大丈夫な形を作ることが重要である。
この話は顧問先のCARTAで定期的に1on1やっているくまの記事にも書いてある。
引用元:新卒エンジニアのOSアップデート:ログとAIで『知っている』を『できる』に変える - CARTA TECH BLOG
新卒の私がすべきは、リスクの高い「決断」ではなく、徹底的に情報を集めて「判断」できる材料を揃えること。「成功と失敗は分かれ道ではなく、一本道である」という思考は、小さな失敗を恐れずに繰り返すことの重要性を今一度考えさせてくれました。
大学院で社会的に成功している方々の話を聞く機会が多いけど、結局の所とりあえずやってみるの精神が一番大事なんだよな pic.twitter.com/Bl7tvNgAlG
— Sudo Sho (@Sudo_Sho) 2021年8月2日
おわりに
このように前に進むためにはネクストアクションを具体的に、小さく設定し、事実と感情を分けて内省のサイクルを回すことが重要である。 インプットを増やすにしてもあ、るいはアウトプットを増やすにしても、まずは行動しなければ何も始まらない。 そのことを理解し、まずは小さな一歩を踏み出すことが重要である。
そして適切な行動の積み重ねが計画的偶発性を生み出し、学びと幸運を引き寄せることができる。 計画的偶発性については以下の資料を参考にしてほしい。
宣伝
この内容で今日の下記のイベントで登壇する。 興味がある方はぜひ会場で聞いて質問してほしい。